免疫組織データベース~いむーの



TSH

2012年12月10日

(甲状腺刺激ホルモン、Thyroid Stimulating Hormone)

 

Mouse monoclonal antibody

クローン:0042

メーカー:DAKO (M3503)

希釈倍率:1:50

抗原賦活化:処理なし

推奨陽性コントロール:下垂体

染色パターン:細胞質

(上記は神戸大病理部での条件(Leica BondMax)。抗体は必ずしも全てのメーカーを比較して選択しているわけではありませんので、必ずしも“推奨メーカー”という意味ではありません。)

 

甲状腺刺激ホルモンは、下垂体前葉の甲状腺刺激ホルモン分泌細胞(thyrotroph)から分泌される、分子量28-30kDaの糖蛋白質である。LH, FSHなどと同じくαとβの二つのサブユニットからなるが、αサブユニットはこれらの糖蛋白ホルモンに共通で、ヒトの場合92個のアミノ酸からなるが、TSHに独特なβサブユニットはヒトの場合112個のアミノ酸からなる。視床下部より分泌された甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(Thyrotropin-releasing homorne, TRH)が下垂体に到達し、下垂体前葉の甲状腺刺激ホルモンを合成・分泌させ、そして、甲状腺刺激ホルモンが甲状腺を刺激し甲状腺ホルモン(thyroxine ; T4、triiodothyronine ; T3)を合成・分泌させている。甲状腺ホルモンは下垂体のTSH分泌細胞の機能を直接抑制し、あるいは視床下部からのTRHの分泌の抑制を介して、TSHの分泌を減少させる(Negative Feedback System)。

TSH

(下垂体前葉におけるTSH染色)

 

用途:TSH産生の確認。TSH産生腫瘍など。

TSH産生腫瘍1TSH産生腫瘍2

(自験例(下垂体腺腫(臨床的にTSH産生腫瘍))。左:H&E染色、右:TSH染色)

 

(注)TSH染色をすることにより、細胞内に一定量のTSHが含まれていることを確認できる、すなわち、TSH染色は定性検査であるが、血清TSH濃度や臨床症状を表すものではない(定量検査ではない)。

 

 

執筆日:2012/12/10

執筆者:神戸大学医学部附属病院病理診断科 酒井康裕、柳田絵美衣、今川奈央子

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