CD208
(Dendric cell lysosome-associated membrane protein-3, DC-LAMP-3)
Mouse monoclonal antibody
クローン:16H11.2
メーカー:Millipore (MABC44)
希釈倍率:1:500
抗原賦活化:ER2、10分
推奨陽性コントロール:肺胞上皮
染色パターン:細胞質
(上記は神戸大病理部での条件(Leica BOND-MAXTM)。抗体は必ずしも全てのメーカーを比較して選択しているわけではありませんので、必ずしも“推奨メーカー”という意味ではありません。)
CD208はCD68と同様にリソゾーム関連膜蛋白(Lysosome-associated membrane protein, LAMP)ファミリーに属する。糖鎖に富む(7ヶ所のN型糖鎖付加部位と少数のO型糖鎖付加部位)416アミノ酸で構成された、分子量70-90 kDaのⅠ型膜貫通蛋白で、その90%はリソゾームの内腔に存在している。特に指状突起樹状細胞(Interdigitating dendritic cell, IDC)としても知られる、リンパ組織のT細胞領域にみられる成熟樹状細胞に発現している。最初にMHC Class-II compartment中に出現し、外来性抗原のプロセッシングに対してCD208の関与が重要であることが示唆されている。また、マウスでは、lbm180と共に、Surfactant protein Bを含むII型肺胞上皮の層状小体の膜に局在している。
(自験例(ヒト肺組織におけるCD208染色)。II型肺胞上皮に陽性となっている。)
用途:
II型肺胞上皮に関連したヒト細気管支肺胞上皮癌で陽性となることから、TTF-1、Napsin A、SP-Aと共に、肺腺癌マーカーの一つとなる可能性がある。
出典:Salaun B, et al. CD208/dendritic cell-lysosomal associated membrane protein is a marker of normal and transformed type II pneumocytes. Am J Pathol 2004;164:861-71.
(自験例。肺上皮内腺癌におけるCD208染色。)
(注)実際染色してみると、肺腺癌ではTTF-1やNapsin Aほど明確な染色態度ではないので、使い勝手は今一つかもしれない。
執筆日:2013/01/18
執筆者:神戸大学医学部附属病院病理診断科 酒井康裕、柳田絵美衣、今川奈央子