PLAP
(Placental alkaline phosphatase)
Mouse monoclonal antibody
クローン:8A9
メーカー:Dako (#M7191)
希釈倍率:1:50
抗原賦活化:CC1、60分
推奨陽性コントロール:胎盤
染色パターン:細胞膜、細胞質
(上記は神戸大病理部での条件(Ventana BenchMarkXT)。抗体は必ずしも全てのメーカーを比較して選択しているわけではありませんので、必ずしも“推奨メーカー”という意味ではありません。)
アルカリホスファターゼは、アルカリ性条件下でリン酸エステル化合物を加水分解する酵素である。そのアイソザイムの一つである胎盤性アルカリホスファターゼは、胎盤絨毛の合胞性栄養膜細胞の細胞膜に存在する耐熱性アルカリホスファターゼで、分子量は130kDa、L-フェニールアラニンにより阻害を受ける。胎生期の胚細胞や骨髄由来の間葉系間質細胞は胎盤性アルカリホスファターゼ染色陽性を示すが、生後の精細管(精祖細胞等)では陰性である。
(自験例(胎盤におけるPLAP染色)。合胞性栄養膜細胞に陽性となっている。)
用途:
胚細胞腫瘍の診断。精細管内悪性胚細胞や胚細胞腫(卵巣未分化胚細胞腫、精巣や縦隔の精上皮腫(セミノーマ)、松果体胚細胞腫)のほとんどで、細胞膜にびまん性陽性となる。但し、胎児性癌や卵黄嚢腫瘍、絨毛癌、未熟奇形腫、その他多種多様な腫瘍でも陽性となることがあるので、特に生検材料ではc-kit染色やOct-4染色などの結果と合わせて総合的に判断するのが望ましい。精母細胞性セミノーマには陰性である。
(自験例(精巣セミノーマ)。左:H&E染色、右:PLAP染色。)
(自験例(精細管内悪性胚細胞)。左:H&E染色、右:PLAP染色。)
(自験例(精巣胎児性癌)。左:H&E染色、右:PLAP染色。)
執筆日:2013/01/21
執筆者:神戸大学医学部附属病院病理診断科 酒井康裕、柳田絵美衣、今川奈央子