免疫組織データベース~いむーの



Calponin

2023年8月2日

(Calmodulin-binding Troponin-like Protein)

クローン名:Anti-Calponin 1 抗体 [EP798Y] (Rabbit monoclonal)
メーカー:Abcam (ab467940)
希釈倍率:1:1000
抗原賦活化:ER2, 20分
推奨陽性コントロール:子宮筋層や消化管粘膜筋板・固有筋層、血管壁
染色パターン:細胞質

(上記は神戸大病理部での条件(Leica BOND-MAX)。抗体は必ずしも全てのメーカーを比較して選択しているわけではありませんので、必ずしも“推奨メーカー”という意味ではありません。)

カルポニンは分子量32,333の塩基性蛋白質で、等電点の違いにより塩基性(h1,Gene:19p13.2)、中性(h2,Gene:21q11.1)及び酸性(acidic,Gene:1p21-22)の3種類のアイソフォームに分けられている。 h1はtropomyosinとactinに結合し、calmodulinとの結合によって平滑筋の収縮を調節しているので、平滑筋細胞、筋上皮細胞の分化マーカーとなる。アクチン活性化ミオシンATPase 活性を抑制することが知られ、アクチンのC 末端と結合し、アクチン・ミオシンの滑り運動を抑制する。よく分化した平滑筋や乳腺・唾液腺などの筋上皮細胞、筋線維芽細胞などに見出される。

動静脈


子宮筋層

結腸粘膜筋板と毛細血管

(正常組織のおけるCalponin染色)

用途:腫瘍における平滑筋分化、筋上皮分化を確認するマーカーの一つとして、またCD10染色やp63染色などと共に筋上皮細胞の染色に有用である。少なくとも筋上皮に対しては非常に感度が高い。ただし、筋線維芽細胞にも陽性となるため多くは使われていない。

乳腺における免疫染色を用いた良悪性の鑑別(森谷卓也先生)

(自験例(平滑筋肉腫)。左:H&E染色、右:Calponin染色)

執筆日:2012/12/27、2023.8.2修復・わずかに付記

執筆者:神戸大学医学部附属病院病理診断科 酒井康裕

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