免疫組織データベース~いむーの



Fibulin-3

2013年10月30日

Rabbit polyclonal antibody

メーカー:Thermo (PA5-20761)

希釈倍率:1:800

抗原賦活化:ER1、10分

推奨陽性コントロール:上皮型悪性中皮腫

染色パターン:細胞質

(上記は神戸大病理部での条件(Leica BOND-MAXTM)。抗体は必ずしも全てのメーカーを比較して選択しているわけではありませんので、必ずしも“推奨メーカー”という意味ではありません。)

 

Fibulin-3 はepidermal growth factor–containing fibulin-like extracellular matrix protein 1 (EFEMP1)をエンコードするextracellular glycoprotein fibulin familyで、その遺伝子は第2番染色体短腕(2p16)に位置する493 アミノ酸、11エクソンをコードする。Marfan 症候群の原因遺伝子の一つであるfibrillin と高い相同性を持つ遺伝子としてクローニングされた。常染色体優性遺伝を示すDoyne honeycomb retinal dystrophy(Malattia leventinese)が、Fibulin-3遺伝子の変異によることが明らかになっている。また、プロモーターのメチル化によって生じるFibulin-3遺伝子の不活化(down-regulation)は、肺癌や乳癌に関連している。Fibulin-3はヒト発達期では、骨性・軟骨構造をもたらす緻密な間葉に発現している。ヒト成人では、各種組織に広く分布しているが、特に血管内皮やその基底膜に強発現している。分泌型蛋白で、血清や尿、組織に存在する。

 

用途:

胸膜悪性中皮腫の診断、特に早期症例に有用かもしれない。

 

最近、Passらによって、血漿や胸水中のfibulin-3濃度は、アスベストに曝露した健常者と悪性胸膜中皮腫患者、悪性胸膜中皮腫による胸水とその他の悪性胸水・良性胸水を識別することが可能であることが示された。

Pass HI, et al. Fibulin-3 as a Blood and Effusion Biomarker for Pleural Mesothelioma. N Engl J Med 2012; 367:1417-1427. DOI: 10.1056/NEJMoa1115050

 

病理診断においてFibulin-3染色がどの位有用性があるかは、これからの研究課題であるが、注目に値する。

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(上皮型胸膜悪性中皮腫。左上:H&E、右上・左下:Fibulin-3染色。)

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(左:肺腺癌、右:肺扁平上皮癌。共に陰性。)

 

 

執筆日:2013/10/30

執筆者:神戸大学医学部附属病院病理診断科 酒井康裕、柳田絵美衣、今川奈央子

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