免疫組織データベース~いむーの



HER2

2006年2月28日

(Human Epidermal Growth Factor Receptor Type 2)

 

HercepTestII(DAKO社)が体外診断用医薬品として承認されている。染色法はキット推奨の通りである。

推奨コントロール:陽性(および陰性)コントロールはキット付属のプレパラートか、陽性乳癌症例を用いる。

染色パターン:細胞膜

 

HER2/neu癌遺伝子の過剰増幅に伴い、細胞膜に発現するタンパク物質である。乳癌治療薬トラスツズマブによるHER2/neu遺伝子過剰発現症例に対する抗体療法の適応決定のため、HER2に対する免疫組織化学は、ホルモン受容体と並んで必須の検査事項となっている。

乳癌症例における判定法

1. 浸潤性乳癌成分のみで判定を行う(非浸潤癌成分は判定に加えない)

2. 細胞質の染色性が得られても判定に加えず、細胞膜のみで判定する

3. 陽性細胞が得られた場合、10%以上の面積をもって判定を行う

4. 癌細胞の膜に限局した染色強度を、弱(1+)・中(2+)・強(3+)に分ける 5. 染色強度2+と3+をHER2タンパクの過剰発現あり、と判定する HER2アトラスによる判定表

HER2

注意事項

・ 固定は10%緩衝ホルマリンを用い、固定時間は24~48時間であることが推奨されている。過固定は染色性低下を招く。

・ 薄切後6週間以上経過した切片は偽陰性となりやすい

・ 2+症例のうち1/4-1/3の症例しか遺伝子の過剰発現を示していないためFISH法の併用が望ましい

・ 2+では膜連続性の染色性が得られることが多いが、1+は非連続性に染色されることが多い

 

写真:浸潤性乳管癌における陽性(3+)症例。いわゆる”Fishnet pattern”を示す。3+症例のほとんどは、ほぼ全ての癌細胞が強陽性を示す。

3HER2

 

 

執筆日:2006/2/28

執筆者:東北大学病院病理部 森谷卓也

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