免疫組織データベース~いむーの



Langerin

2013年12月4日

別名 CD207

 

Mouse monoclonal antibody

メーカー:Novocastra (NCL-LANGERIN)

クローン:12D6

希釈倍率:1:150

抗原賦活化:ER1, 10分

推奨陽性コントロール:皮膚、扁桃

染色パターン:細胞質(顆粒状)、細胞膜

(上記は神戸大病理部での条件(Leica BOND-MAXTM)。抗体は必ずしも全てのメーカーを比較して選択しているわけではありませんので、必ずしも“推奨メーカー”という意味ではありません。)

 

Langerin(CD207)は、遺伝子座が2p13の48kDのⅡ型膜貫通蛋白質で、主にN型糖鎖が付加したCタイプレクチンである。ジスルフィド結合は含まない。細胞外領域に糖鎖認識ドメイン(carbohydrate recognition domain)を有する。真皮や粘膜に分布する未熟樹状細胞のサブセットであるランゲルハンス細胞や真皮のCD103+樹状細胞の表面膜上、細胞質内の両方に選択的に発現する。Ca2+依存的に、マンノース、N-acetyl-glucosamine、フコースと結合し、抗原認識と取り込み、 バーベック顆粒(ランゲルハンス顆粒、胞桿小体、ラケット小体)への抗原輸送に関与する。ランゲルハンス細胞におけるLangerinの発現は、バーベック顆粒の存在と相関している。バーベック顆粒の形成はLangerinの発現に依存する。ランゲルハンス細胞の成熟に伴い発現量は低下する。

皮膚扁桃2

細気管支

(正常組織におけるLangerin染色。左上:皮膚、右上:扁桃、左下:細気管支。)

 

用途:

病理診断上は、Langerhans cell histiocytosisの診断に有用である。

Lauらの検討によると、電顕的にバーベック顆粒が確認されているLangerhans cell histiocytosisの17症例(1例を除きCD1a陽性)全部にLangerin染色が陽性で、血球貪食症候群7例、広範なリンパ節腫大を伴う洞組織球症4例、急性骨髄性白血病8例、急性単球性白血病7例、慢性骨髄単球性白血病10例、若年性黄色肉芽腫5例、指状嵌入樹状細胞肉腫/腫瘍5例、濾胞樹状細胞肉腫/腫瘍8例は、全て陰性(同時にCD1aも陰性)であったという。しかし、組織球性肉腫10例2例に陽性(CD1a陰性)あった。

文献:Lau SK, et al. Immunohistochemical expression of Langerin in Langerhans cell histiocytosis and non-Langerhans cell histiocytic disorders. Am J Surg Pathol 2008;32:615-9.

 

その他の文献でもLangerhans cell histiocytosis の診断における有用性(特異性が高い)が報告されているが、Langerin染色の病理診断上の有用性については、未だ十分に検討されているとは言い難いので、使用に当たっては形態診断やCD1aなどの既知の免疫染色と共に、判断すべきである。

 

131202_019131202_018

(自験例(Langerhans cell histiocytosis)。上:H&E染色、下:Langerin染色。)

 

 

執筆日:2013/12/04

執筆者:神戸大学医学部附属病院病理診断科 酒井康裕、柳田絵美衣、今川奈央子

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