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Muscle actin (HHF35)

2012年12月28日

Mouse monoclonal antibody

クローン:HHF35

メーカー:Dako (M0635)

希釈倍率:1:100

抗原賦活化:処理なし

推奨陽性コントロール:血管壁、消化管粘膜筋板・固有筋層、子宮

染色パターン:細胞質

(上記は神戸大病理部での条件(Ventana BenchMarkXT)。抗体は必ずしも全てのメーカーを比較して選択しているわけではありませんので、必ずしも“推奨メーカー”という意味ではありません。)

 

アクチンは分子量42kDaの球形の蛋白質(G-actin)で、生理的条件下ではATPの加水分解を伴って数珠状に重合し、右巻き二重螺旋状の多量体を形成してアクチンフィラメント(F-actin)を形作る(直径6-7nm)。アクチンには6つのアイソフォーム、すなわち、αアクチン3種類(心筋、平滑筋、骨格筋)、βアクチン、γアクチン2種類(筋肉以外、平滑筋)がある。等電点の違いにより(pHの低い方から)α(1q42:α1など)、β(7p22)、γ(17q25;γ1など)に分類されており、それぞれ遺伝子が異なる。アイソフォームそれぞれの間では90%以上の相同性を示す。α-アクチンは筋収縮を担い、β-アクチンとγ-アクチンは主に細胞骨格としてのアクチンフィラメントを構成する。HHF35抗体は横紋筋、平滑筋ともに反応するが、特に心筋と平滑筋に見られるαとγアクチンを認識するとされる。

(注)HHF35はクローン名であるが、多種多様なアクチン関連抗体(α-SMA等)との区別をしやすくすることもあって、あえてMuscle actinやMuscle specific actinと呼ばずにHHF35と呼ぶことが多い。

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(正常結腸の固有筋層と漿膜下組織の血管)

 

用途:筋分化マーカーの一つである。
特に肉腫において分化傾向を検討する際に利用されることが多いと思われるが、Glomus腫瘍や血管筋脂肪腫、筋線維芽細胞関連病変などでも陽性となる。

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(自験例(平滑筋肉腫)。左:H&E染色、右:Muscle actin染色)

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(自験例(多形型横紋筋肉腫)。左:H&E染色、右:Muscle actin染色)

 

 

執筆日:2012/12/28

執筆者:神戸大学医学部附属病院病理診断科 酒井康裕、柳田絵美衣、今川奈央子

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