免疫組織データベース~いむーの



CK14

2012年11月15日

(Cytokeratin 14)

 

Mouse monoclonal antibody

クローン:LL002

メーカー:Novocastra

希釈倍率:1:50

抗原賦活化:CC1 (Ventana)

推奨陽性コントロール:扁平上皮

染色パターン:細胞質

(上記は神戸大病理部での条件(Ventana Benchmark XT)。抗体は必ずしも全てのメーカーを比較して選択しているわけではありませんので、必ずしも“推奨メーカー”という意味ではありません。)

 

CK14は50kDaのI型(酸性)ケラチンで、CK14 2本と塩基性のII型ケラチンのCK5 2本で4量体を形成している。基底細胞や筋上皮細胞などに分布している。

 

用途:CK14はCK5/6と同様、扁平上皮マーカーとして知られている。小検体において、形態的に分化傾向の明らかでない非小細胞肺癌に対する免疫染色パネルで、扁平上皮マーカーとして有用性が報告されている。また、過信は禁物であるものの、良性乳管内病変と非浸潤性乳管癌の鑑別において、CK5/6と同様、CK14は良性病変で乳管上皮にモザイク状の陽性像を呈する傾向があり、診断の一助になる。

表1 様々な上皮性腫瘍におけるCK14の染色結果

臓器

組織型

症例数

CK14陽性数

副腎

副腎皮質癌

10

0

膀胱

尿路上皮癌

24

5

乳腺

小葉癌

6

0

乳管癌

20

0

結腸

腺癌

20

1

食道

扁平上皮癌

14

14

胃腸

カルチノイド

15

0

胚細胞

胚細胞腫瘍

14

0

頭頸部

扁平上皮癌

30

27

19

0

肝細胞癌

11

0

胆管細胞癌

14

1

腺癌

11

2

扁平上皮癌

15

13

小細胞癌

7

1

カルチノイド

9

0

卵巣

腺癌

24

3

腺癌

13

1

耳下腺

全腫瘍

9

5

前立腺

腺癌

18

0

皮膚

メルケル細胞癌

9

0

腺癌

8

0

胸腺

胸腺腫

8

8

甲状腺

濾胞腺腫

24

1

髄様癌

16

0

濾胞癌

5

0

乳頭癌

10

0

子宮

類内膜腺癌

10

1

頚部扁平上皮癌

15

13

その他

悪性中皮腫

17

3

類上皮肉腫

12

0

神経内分泌癌

9

0

435

98

出典:Chu PG, et al. Cytokeratin 14 expression in epithelial neoplasms: a survey of 435 cases with emphasis on its value in differentiating squamous cell carcinoma from other epithelial tumours. Histopathology 2001;39:9-16.

表2 免疫染色の結果

TTF-1/napsin

+ and/or  +

+/-

-/+

+/+

不明

 腺癌(39例)

38  (97.4%)

4  (10.3%)

1 (2.6%)

33  (84.6%)

1 (2.6%)

 扁平上皮癌(25例)

0 (0%)

0 (0%)

0 (0%)

0 (0%)

0 (0%)

p63/CK14

+ and/or  +

+/-

-/+

+/+

不明

 腺癌(39例)

0 (0%)

0 (0%)

0 (0%)

0 (0%)

0 (0%)

 扁平上皮癌(25例)

25  (100%)

2 (8.0%)

1 (4.0%)

25 (88%)

0 (0%)

出典:Yanagita E, et al. Rapid multiplex immunohistochemistry using the 4-antibody cocktail YANA-4 in differentiating primary adenocarcinoma from squamous cell carcinoma of the lung. Appl Immunohistochem Mol Morphol 2011;19:509-13.

 

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(自験例。左は肺扁平上皮癌、右は肺腺癌)

肺癌における筆者の印象では、単独マーカーとしてのCK14は、CK5/6より感度は低いものの、扁平上皮癌に対し、概ねパラレルな染色態度を示すように思われる。日常診断で、乳腺や唾液腺、前立腺で筋上皮細胞、基底細胞を染色するのに、あえてCK14を使う理由は見出せない。

 

 

執筆日:2012/11/15

執筆者:神戸大学医学部附属病院病理診断科 酒井康裕

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