免疫組織データベース~いむーの



PRL

2012年12月4日

(Prolactin)

 

Rabbit polyclonal antibody

メーカー:DAKO (A0569)

希釈倍率:1:1000

原賦活化:処理なし

推奨陽性コントロール:下垂体

染色パターン:細胞質

(上記は神戸大病理部での条件(Leica BondMax)。抗体は必ずしも全てのメーカーを比較して選択しているわけではありませんので、必ずしも“推奨メーカー”という意味ではありません。)

 

PRLは主に下垂体前葉のプロラクチン分泌細胞(Lactotroph)から分泌されるホルモンで、199個のアミノ酸から成り、分子量は23kDa。胎盤や子宮など末梢組織でも産生される。成長ホルモンと構造が近く、同一の祖先遺伝子が重複し、機能が分化したと考えられている。乳腺の分化・発達や乳汁の合成・分泌の他、黄体の構造と機能を維持させプロゲステロン分泌を維持させ、排卵を抑え、また子宮内膜を肥厚させる。男性では、前立腺や精嚢腺の発育を促す役割を担っている。プロラクチンの分泌は視床下部からのプロラクチン抑制因子の分泌(主にドパミン)によって抑制されているのが通常である。TRHはTSHだけではなくPRLの分泌を促進する作用がある。プロラクチノーマや視床下部・下垂体障害、甲状腺機能低下症などでプロラクチン分泌が過剰になり、排卵抑制や乳汁分泌などの症状が現れる。これらは無月経や不妊症の原因として重要である。

PRL

(下垂体前葉におけるPRL染色)

 

用途:PRL産生の確認。PRL産生腫瘍など。

 

PRL産生腫瘍1PRL産生腫瘍2

(自験例(下垂体腺腫(臨床的にPRL産生腫瘍))。左:H&E染色、右:PRL染色)

 

(注)PRL染色をすることにより、細胞内に一定量のPRLが含まれていることを確認できる、すなわち、PRL染色は定性検査であるが、血清PRL濃度や臨床症状を表すものではない(定量検査ではない)。

 

 

執筆日:2012/12/4

執筆者:神戸大学医学部附属病院病理診断科 酒井康裕、柳田絵美衣、今川奈央子

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