免疫組織データベース~いむーの



CD146

2013年1月8日

Rabbit monoclonal antibody

クローン:EP54

メーカー:Epitomics (AC-0052RUO)

希釈倍率:1:200

抗原賦活化:ER2、10分

推奨陽性コントロール:胎盤、胎児膜(中間型栄養膜細胞、血管内皮、平滑筋)

染色パターン:細胞膜

(上記は神戸大病理部での条件(Leica BOND-MAXTM)。抗体は必ずしも全てのメーカーを比較して選択しているわけではありませんので、必ずしも“推奨メーカー”という意味ではありません。)

CD146は細胞接着分子の免疫グロブリンスーパーファミリーに属する、分子量118kDaの膜貫通型糖蛋白である。MUC18、s- endo、Endo-CAM、Mel-CAMとも呼ばれる。細胞外領域は2個のV様ドメインと3個のC2様ドメインで構成されている。他の免疫グロブリンスーパーファミリー接着分子と関連して、細胞間接触部位に集中的に存在しており、Ca2+非依存性の細胞接着因子として機能し、特に細胞単層の維持に役立っていると考えられる。肝類洞内皮細胞を含む内皮細胞、平滑筋細胞、中間型栄養膜細胞、基底膜、樹状細胞、活性化T細胞サブセット、骨髄間質細胞、線維芽細胞等に発現している。CD146染色はhPL染色と共に、中間型栄養膜細胞マーカーとして利用できる。

用途:

①絨毛性疾患

脱落膜や血管壁に侵入して胎盤の成長や機能保持のために一役を担う中間型栄養膜細胞は、非腫瘍性・反応性病変や腫瘍性の絨毛性疾患の由来と考えられている。CD146染色はトロホブラスト腫瘍に陽性となることからその検出に役立つ。hPL染色に類似した染色態度を示すようで、特に、着床部中間型栄養膜細胞由来と考えられている胎盤部トロホブラスト腫瘍(PSTT)や過大着床部(EPS)に強陽性となる。逆に、絨毛膜型栄養膜細胞由来と考えられている類上皮性トロホブラスト腫瘍(ETT)や着床部結節(PSN)では、陰性から弱陽性となる。p63染色はトロホブラスト腫瘍に対して、CD146染色やhPL染色と逆の陽性態度を示すことから、Ki-67染色などとも組み合わせることで、PSTT、EPS、ETT、PSNを鑑別しうるとされている。

出典:

1. Shih IM, Kurman RJ. The pathology of intermediate trophoblastic tumors and tumor-like lesions. Int J Gynecol Pathol 2001;20:31-47.

2. Kalhor N. et al. Immunohistochemical studies of trophoblastic tumors. Am J Surg Pathol 2009;33:633-8.

3. Shin IM, Kurman RJ. p63 expression is useful in the distinction of epithelioid trophoblastic and placental site trophoblastic tumors by profiling trophoblastic subpopulations. Am J Surg Pathol 2004;28:1177-83.

②上皮型悪性中皮腫と反応性中皮との鑑別

Glut-1、mEMA、Desmin、MUC1、p53、Ki-67、IMP3の各免疫染色を用いた免疫組織化学的鑑別が試みられているが、実際は明確な結果が得られるとは言い難い。最近、中皮細胞の腫瘍化に伴ってCD146蛋白の発現が増強することから、CD146染色が上皮型悪性中皮腫と反応性中皮との鑑別に有用であると報告されている。

CD146に対する2種類のクローン抗体(OJ79およびEPR3208)で、感度はそれぞれ94%と90%,特異度は両者100%。

出典:Sato A, et al. Immunocytochemistry of CD146 is useful to discriminate between malignant pleural mesothelioma and reactive mesothelium. Mod Pathol 2010;23:1458-66.

執筆日:2013/01/08

執筆者:神戸大学医学部附属病院病理診断科 酒井康裕

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